がん治療で会社を休んで療養・・・、有給休暇が少なくなっても大丈夫?

がん患者さんが会社員や公務員の場合、療養のため仕事を休んでも、有給休暇を利用すれば収入は確保されます。
治療中に、お給料が減らないのは安心ですね。
とはいえ、有給休暇の日数には限りがあるので、残り少なくなってきたら心配になるかもしれせん。

しかし、社会保険に加入している会社員であれば、傷病手当金の制度で給付金が受け取れます。
金額は給与の約3分の2、期間は通算して1年半までです。
ただし、受け取るには要件を満たす必要があります。
今回は、傷病手当金を受け取れる、4つの要件を見ていきましょう。

※国民健康保険組合の方は、組合にご確認ください。

傷病手当金の要件1:業務外の病気やケガ

まずは、病気やケガが、業務外の事由によるものであることです。
業務内での病気やケガは労災保険で補償、それ以外の病気やケガが傷病手当金の対象です。
尚、病気と見なされない、美容整形などは対象外です。

傷病手当金の要件2:仕事ができない

病気やケガのため、仕事に就くことができないことが、2つ目の要件です。
仕事の内容を考慮して、医師などの療養担当者の意見をもとに判断されます。

傷病手当金の要件3:連続3日休んだあとの4日目から

傷病手当金は、療養のため連続して3日間休んだ場合、4日目から支給されます。
具体的なケースで考えてみましょう。

ケース1

「1日か2日休んで出勤」を繰り返し、休んだ日数が4日以上になっても、「連続3日休んだ~」という要件にあてはまらないので、傷病手当金は支給になりません。

ケース2

連続して3日休んだら、その後出勤しても、休んだ4日目からは傷病手当金が支給されます。

ケース3

2日休んだ後に出勤すると、休んだ日数のカウントがクリアされて、また休んだら1日目からカウントされます。

仕事の都合によっては、なかなか思い通りに休めないかもしれませんが、傷病手当金の支給要件も考慮に入れて予定を立てられるといいですね。

ちなみに、連続した3日の休みには、有給休暇や土日が入ってもOKです。

土日が休みの職場の場合、金曜日に有給休暇をとって、土日も休んだら、連続した3日の休みの要件を満たすので、月曜日からの休みは、傷病手当金の支給対象になります。

傷病手当金の要件4:給与の支払いがない

そして、4日目以降の休んだ日について、給与の支払いがないことも要件です。
ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金より少なければ、差額が支給されます。
なぜなら、傷病手当金は仕事を休んでいる期間の生活保障の制度だからです。

がん治療で傷病手当金を考えたときに気を付けておきたいこと

傷病手当金は、勤務先の健康保険に加入している本人が利用できる制度です。
業務外の病気・ケガが原因で、仕事ができず、3日連続して休んだら4日目から支給されますが、給与の支払いがあれば、金額の調整があります。

療養のため仕事を休み、有給休暇が少なくなっても、傷病手当金による生活保障があります。金額は給与の約3分の2、期間は通算1年半までです。

気を付けておきたいのは、傷病手当金を受け取る前に有給休暇を使い切らないこと。
がんの治療は長期になることが多く、仕事に復帰した後も、通院などで休むことが少なくありません。その際、有給休暇がないと欠勤扱いになり給与が減ってしまいます。
長期の視点で、制度の利用をすることが大切です。

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執筆者 AFP認定者 松川 紀代
監修  CFP認定者 渡辺 一江

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