がん治療でのお金のこと、「困ってから考えれば大丈夫?」
がんと診断された直後、多くの方がまず向き合うのは治療のことです。
一方で、「お金のことはあとで」と後回しになってしまうことも少なくありません。

夫は肺がんで検査入院や手術を受け、遺伝子検査の結果次第で今後の治療方針が決まります。今のところは蓄えもあるし、何とかなりそうです。
このように思うことは、珍しいことではありません。
でも実は、お金の問題というのは「困ってから」では選択肢が狭くなることがあります。
今回は、がんと診断されたあとによく聞く「まだ大丈夫」という言葉の裏に隠れがちな、先送りしやすいお金の話を、実際の相談事例を交えながら整理します。
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「まだ働けているから、収入の確認は後でいい」
治療を始めても、これまで通り働ける方もいます。
そのため、傷病手当金や休職制度についての確認を「もう少し先でいいかな」と後回しにしてしまうこともあります。
その後、Aさんのご主人は検査の結果、抗がん剤治療を行うことになりました。
抗がん剤治療を受けながらフルタイムで働けていたので、「このまま続けられそう」と制度を確認しないまま過ごしていました。
しかしその後、体調が急に変化し休職が必要となり、初めて制度を調べ始めたことで、申請までに時間がかかってしまったケースもあります。
公的な制度は利用できるまでに時間がかかります。そのため、必要になってから調べると準備が間に合わないこともあります。
体調が安定しているときに、「もし働けなくなったらどうなるか」を少しだけ考えておくだけでも、いざというときの不安を和らげることにつながります。
「がん保険・医療保険はそのうち確認すればいい」
医療保険やがん保険に加入していると、「何かあれば保険が使えるはず」と感じることもあると思います。
一方で、給付の条件や請求のタイミングを確認していないことで、本来受け取れるはずの給付が遅れてしまったり、手続きに時間がかかってしまうこともあります。
乳がんの手術のため入院したBさん(50歳代)は、入院給付金が出ることはご存じでしたが、「退院して落ち着いてから請求しよう」と後回しにしていました。
その結果、請求期限が近づいてから慌てて手続きを進めることになり、「もう少し早く確認しておけばよかった」とお話しされていました。
多くの場合、保険の請求には期限があります(一般的には2年以内とされています)。
まだ先のことと思っていても、気づいたときには期限が迫っている、ということも少なくありません。
保険は、必要になってから調べるよりも、あらかじめ内容を確認しておくと安心です。
すべてを細かく理解する必要はありませんが、「どんなときに・何が・いつ受け取れるのか」を大まかに把握しておくだけでも、いざというときの安心につながります。
「とりあえず貯金でしのげているから大丈夫」
治療が始まり、収入が減った場合でも、まずは貯金を取り崩しながら生活される方は少なくありません。
通院費や生活費が手持ちのお金でまかなえるうちは、「ひとまず貯金で」と考えるのも自然なことだと思います。
ただ、ご相談の中で多いのは、貯金の減り方を把握しないまま使い続け、残高が目に見えて減ってきた段階で、急に不安が大きくなるケースです。
「本当に困ったら考えよう」と思っていても、その頃には選べる制度や相談先が限られていることもあります。
貯金は心強い支えですが、「今どれくらい使っているのか」「このままだとどのくらい持ちそうか」を一度見える形にするだけでも、先の見通しや安心感は大きく変わります。
「まだ大丈夫」の今だからこそ確認を
「まだ大丈夫」と感じている間は、心と体を守ることが最優先です。
一方で、治療中は収入を増やすことが難しい場合も多く、貯蓄に頼る状況になることも少なくありません。
だからこそ、貯蓄が大きく減る前に、お金の流れや使える制度を少しだけ整理しておくことが大切です。
大丈夫なうちに、少しだけ確認する。
それが、あとからの不安を減らし、自分を助ける選択につながります。
執筆者:松川 紀代(AFP、患者家計アドバイザー®)
監修者:黒田 ちはる(CFP®、患者家計アドバイザー®)
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