がん患者さんが知っておきたい障害年金の3つの条件
障害年金は、病気やケガによる障害のために、生活や仕事などが制限されるような場合に受取れる公的年金です。
がん患者さんのなかには、がんが障害年金の対象にならないと思ってしまっている人も少なくありませんが、受け取れる3つの条件を満たせば、がん患者さんも対象になります。
今回は、障害年金を請求できる、3つの条件をお伝えします。
■条件1:初診日に年金に加入していること
条件の1つめは、初診日に公的年金に加入していること。
年金の加入は、国民年金なら20~60歳、厚生年金なら就職して加入している期間です。
ただし、初診日が20歳前の場合や、60~65歳でも対象になる場合があります。当てはまる場合には詳しく調べてみましょう。
初診日とは、障害の状態になった病気やケガについて、はじめて医師などの診療を受けた日のことです。
たとえば、お腹が痛くて近所のクリニックに行って診察を受けたがなかなかよくならず、大きな病院を紹介されて検査したところ、がんと診断された、という場合には、近所のクリニックに最初に受診した日が初診日です。
診断された日や、診断された病院の初診日ではないことに注意が必要です。

初診日がいつというのは重要です。
年金事務所など、あなたの年金を管轄しているところに直接確認しましょうね。
■条件2:障害の状態が等級に該当していること
2つめの条件は、障害の状態が等級に該当していること。
等級は、障害の状態が重いほうから、1級、2級、3級、となっています。
初診日に加入していた年金が、国民年金であれば1級・2級、厚生年金であれば1~3級が給付の対象です。
障害の状態を判断する日を「障害認定日」と言います。
障害認定日は、初診日から1年6カ月後の日、あるいは、その前に症状が固定した場合には、その日が障害認定日になります。
障害認定日に、定められた障害の状態にある場合には、障害認定日の翌月分から障害年金を受け取ることができます。
また、障害認定日を過ぎてから、障害の状態になった場合には、請求日の翌月分から受けとることもできます。
このことを、「事後重症による請求」といいます。

「障害」というと、目に見える障害をイメージしがちですが、そうとも限りません。
がん患者さんの中には症状や治療による影響により生活や仕事などが制限されている方も受給しています。
■条件3:保険料を払っていること(納付要件)
3つめの条件は、保険料を払っていることです(納付要件)。
保険料の納付は、次のいずれかを満たしていることが条件です。
初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までに、
① 加入期間の3分2以上納付している
「納付した月」には、実際に納付した期間に加えて、免除期間が含まれます。
たとえば、下記の場合には、納付要件は満たしています。
初診日がある月(12月)の2カ月前(10月)までの期間は、20歳になった2024年の5月~2025年10月までの15カ月。
そのうち、納付が9カ月、免除が3カ月、合計12カ月ですから、15カ月の3分の2以上になっています。

ここで気を付けたいのは、「初診日の前日において」ということです。
初診日の後からさかのぼって納付しても間に合わないので、要注意です。
初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までに、
② 直近の1年間に未納期間がないこと(初診日が2026年3月末日までの特例)
初診日が2026年3月末日までの場合には直近特例があります。
下記の場合にも納付要件は満たしています。
初診日がある月(12月)の2カ月前(10月)の直近12カ月(2024年11月~2025年10月)のうち、納付が9カ月、免除が3カ月ですから未納はありません。

納付要件を満たしているかどうかは、年金事務所でも確認できます。
とても大切なところですので、しっかりと確認しましょう。
■手続きは、年金事務所などに相談
障害年金を受け取るには、請求手続きが必要です。
まずは、お近くの年金事務所などに問い合わせるといいでしょう。
がん患者さんにとって、安定したした収入はとても大切です。
スムーズな手続きのためにも、必要な情報を得るようにしたいですね。
執筆者:松川 紀代(AFP、一般社団法人患者家計サポート協会)
監修:黒田 ちはる(CFP、一般社団法人患者家計サポート協会)
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