がんになって「びっくり退職」しなくてよかった話
がんと診断されると、仕事をしている人が「仕事、どうしよう」と悩みます。
診断直後に、すぐに退職することを「びっくり退職」といいますが、実は退職した人の約6割が治療の開始前のタイミングで仕事をやめています。
相談者は乳がんと診断されたばかりの40代女性。
「がんになったら、退職したほうがいいですよね?」という言葉から始まったやりとりです。
【無料】がん治療が始まるときに考えておきたい困らないための対策
ご家族のみ、医療従事者もOKです。
「がん治療が始まるときに考えておきたい困らないための対策」を一緒に考えています。
相談者:40代、女性、独身、正社員(年収450万円)、乳がんと診断されたばかり
患者家計サポート協会が行っている「医療費とお金の無料相談会」(オンライン)に申し込まれました。

職場の健康診断で再検査になって、乳がんがわかったんです。
とてもショックで…。
がんになったら、退職したほうがいいですか?
仕事は続けられないと思います。
副作用とか、大変そうで。

つらいですよね。お仕事は今どんな状況ですか?

正社員で年収は450万円くらい。
独身で、実家は隣の県にあります。
がんと聞いたとたん「治療に専念しなきゃ」って思ってしまって…。

お気持ち、よくわかります。
でも今は外来治療が中心で、通院しながら働く方も多いですよ。
退職は慎重に考えていいと思います。

そうなんですね。確かに、退職して収入がなくなるのは不安です。
でも職場に迷惑をかけてしまいそうで。
40代になってからは部下も増えて、責任もあるのに休んでばかりだと申し訳ないような気がします。

そのお気持ちも大切ですよね。
でも、もし退職したら再就職は難しい場合もあります。
退職せずに社会保険を継続すると、手厚い保障が受けられるケースが多くあります。
傷病手当金など、収入をおぎなう制度もありますし、職場と相談して働き方を調整するという選択肢もありますよ。

確かに、退職したら収入がなくなりますよね。
治療もですけど、将来の家計が不安かも。
制度があるなら、もう少し考えてみようかな…。
傷病手当金は、いくらもらえるんですか?

受け取れる場合には、お給料の3分の2くらいです。
ただ、そこから社会保険料や住民税を払うことになるので、手元に残る金額は少なくなります。

それくらいあれば、貯蓄や民間の医療保険の給付金を合わせて、生活費はなんとかなるかな。

そうですね。でも、受け取れるタイミングには注意が必要です。
傷病手当金は、仕事を休んだ日数に応じて受け取れるものです。
つまり、休んだ後に申請して、申請が通れば受け取れます。
それまでは家計のやりくりが大変になることが多いので、見通しを立てておくと安心ですよ。

退職しなかった人は、あとからどう感じてますか?

「辞めなかったから、治療後の生活も見通しが持てた」という声が多いです。
それに、国立がん研究センターの調査では、87.2%の人が休業後に復職しています。
職場に戻る安心感は、回復を支える力になりますよ。

そうですね、話を聞いてもらって、少し気持ちが落ち着きました。
もっと職場や病院で確認して考えてみます。

まとめ
治療の計画は、主治医からなされていると思います。医療費の概算と、家計費のやりくりをシミュレーションしておくと、お金の面の不安が軽くなるでしょう。
ぜひ、FP相談を活用してみてください。
参考資料:国立がん研究センターの調査「患者体験調査報告書 令和5年度調査(速報版)」(厚生労働省委託事業)
執筆者:松川 紀代(AFP認定者)
監修者:黒田 ちはる(CFP®認定者)
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