がん治療で大病院に通うときに知っておきたい「特別料金」の話

がんと診断されると、「できるだけ大きな病院で診てもらいたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

実際に、専門的な治療や検査が必要な場合には、大きな病院での受診が重要になることもあります。

一方で、紹介状なしで受診した場合には、通常の医療費とは別に「特別の料金」がかかる仕組みがあります。

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なぜ「特別の料金」があるの?医療機関の役割分担

日本の医療制度には、どの医療機関にも自由に受診できる「フリーアクセス」という考え方があります。

がん患者さんにとっても、近くのクリニックでも大きな病院でも、自分で選んで受診できることは安心につながる仕組みです。

一方で、医療機関にはそれぞれ役割があります。
地域のクリニックは日常的な体調管理や相談、慢性疾患の管理を担い、大きな病院は高度な検査や専門的な治療、入院治療などを担っています。

このような役割分担を円滑にするために設けられているのが、紹介状なしで大きな病院を受診した場合にかかる「特別の料金」です。

紹介状なしだと、特別の料金がかかる

現在、一定規模以上の病院(一般病床が200床以上など)では、他の医療機関からの紹介状なしで受診すると、通常の診療費とは別に、特別の料金が徴収される仕組みになっています。

この制度は、2016年度の診療報酬改定以降、段階的に対象が拡大されてきました。
特別の料金の金額は医療機関ごとに異なりますが、初診の場合は7,000円以上(歯科は5,000円以上)、再診は3,000円以上(歯科は1,900円以上)です。

この費用は保険診療とは別扱いで全額自己負担となり、高額療養費制度の対象にもなりません。

がん治療は通院が続くことも多いため、こうした費用が積み重なる可能性がある点にも注意が必要です。

なぜこのような仕組みがあるのか

この制度の目的は、大きな病院への患者集中を防ぎ、医療機関の役割分担を進めることにあります。

もし誰もが最初から大病院を受診すると、本来専門的な治療が必要な患者さんが十分な医療を受けられなくなる可能性があります。また、待ち時間の増加や医療従事者の負担増にもつながります。

そのため、まずは地域のクリニックなどで診察を受け、必要に応じて紹介状を持って大きな病院に行く、という流れが推奨されているのです。
ただし、救急の場合など、特別の料金がかからない場合もあります。

がん治療後の通院はどうなる?逆紹介という仕組み

大きな病院での治療がひと段落すると、地域のクリニックや中小規模の病院へ紹介されることがあります。これを、逆紹介といいます。

がん治療では、手術や抗がん剤治療などは大きな病院で行い、その後の体調管理や定期的な診察は地域の医療機関で行う、という流れになることも少なくありません。

逆紹介は、状態が安定してからも適切な医療を受け続けるための仕組みです。
大きな病院は、手術や専門的な治療、入院対応などを担う役割があるため、外来のフォローアップや日常的な診療は、地域の医療機関に引き継ぐことが望ましいとされています。

一方で、「これまで通っていたから安心」「主治医がいるから」という理由で、大きな病院への通院を続けたいと感じる方も少なくありません。

ただし、こうした逆紹介のあとも紹介状なしで大きな病院を受診し続ける場合についても、特別の料金の対象になります。
再診の場合は3,000円以上(歯科は1,900円以上)です。

がん治療中の受診先に迷ったときの考え方

特別の料金の仕組みは、医療機関ごとの役割を活かしながら、必要な人に必要な医療を届けるためのルールです。

大きな病院と地域のクリニックには、それぞれに強みがあります。
専門的な検査や治療が必要なときは大きな病院へ、日常的な体調管理や相談は地域の医療機関へ――そうした使い分けが、結果として安心につながります。

また、両方の医療機関にかかっていることで、いざというときに相談先が複数ある、という安心感もあります。


受診先に迷ったときは、主治医や看護師、がん相談支援センターに相談することで、自分に合った受診のしかたを一緒に考えることもできます。

制度を知ったうえで、自分に合った医療の受け方を選んでいくことが大切です。

がん相談支援センターは治療を受けていなくても相談できます。予約制が多いので、お近くの病院で探してみましょう。がん相談支援センターの検索方法(参考:がん情報サービス)

執筆者:松川 紀代(AFP、患者家計アドバイザー®)

監修者:黒田 ちはる(CFP®、患者家計アドバイザー®)

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