がん患者さんのための傷病手当金:申請手順と注意点を詳しく解説!
働くがん患者さんにとって、傷病手当金は収入を確保できる大事な制度です。
有給休暇が残り少なくなっても、直近12カ月の報酬の、約3分の2が受け取れるのは助かります。期間は最長で通算1年6カ月なので、比較的ゆとりを持って療養できるのではないでしょうか。
制度をしっかり活用するためにも、手続きはスムーズにこなしたいところです。
今回は、全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)を例に手続きの流れと、気を付けるべきポイントについてお伝えします。
傷病手当金については、以下記事も合わせてご覧ください。
傷病手当金の手続きの流れ
傷病手当金は、社会保険の被保険者本人が、次の4つの条件にあてはまる場合に給付されます。
1. 業務外の病気やケガでの療養
2. 療養のために仕事につくことができない
3. 連続した3日間を含み4日以上仕事につけなかった
4. 休んでいる期間に給与の支払いがない
手続きに必要な「健康保険傷病手当金支給申請書」は、次の3つがあります。
1.被保険者記入用
2.事業主記入用
3.療養担当者記入用
それぞれに見ていきましょう。
【1・2ページ目】被保険者記入用

患者さん自身が記入します。
保険証の記号、番号や生年月日や氏名など、基本的な項目を記入します。
傷病手当金の受取りは、本人名義の金融機関の口座が一般的です。
保険証とキャッシュカードを見ながら、記入できそうですね。

また、療養のために休んだ期間、仕事の具体的な内容、発病年月日なども記入します。
事業主記入用や、療養担当者記入用の書類と同一になりますので、確認の上、記入します。
【3ページ】事業主記入用

職場で記載してもらいます。
勤務状況、出勤していなかった日に対して支払った報酬などがあれば記載し、それらを事業所が証明します。
【4ページ目】療養担当者記入用

主治医に記載してもらいます。
仕事につけないと認めた期間、傷病名、症状や経過などを記載し、それらを医師が証明します。
費用は、保険適用の場合の診療報酬点数は100点、3割負担だと300円です。
書類が準備できたら、加入の健康保険に提出して申請します。
気を付けるべき、無収入の期間
手続きは、休職した期間に対して申請します。
つまり、休んだ後に申請するわけです。
さらに、申請してから審査がありますので、実際に給付金が口座に振り込まれるまでには、数カ月かかる場合もあります。
給与と同じタイミングで受け取れるわけではないので、注意が必要です。
特に、住宅ローンの支払いや、生命保険の保険料、クレジットカード利用分の引き落としなど、給与日に合わせて設定している場合は、よく確認しておきましょう。
引き落としが間に合わず、契約そのものに影響が出る事態は避けたいところです。
家計全体で考えることが大切
「傷病手当金があるから大丈夫」、とは言い切れません。
家計全体で総合的に考えることが大切です。
不安を少なくして、治療に臨んで欲しいと思います。
医療費や生活費をどう支払っていこうか考えている方は、お気軽に「患者家計サポート協会」にご相談ください。
専門相談員がこれからのお金のことを一緒に考えています。
執筆者:松川 紀代(AFP認定者)
監修者:黒田 ちはる(CFP®認定者)
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