【がん患者向け】退職後の傷病手当金の受け取り方と注意点

傷病手当金は、会社員や公務員が利用できる制度ですが、退職後にも受け取れる場合があります。

がん患者さんにとって、収入の確保は暮らしの安心材料になります。

傷病手当金を退職後に受取れる要件を確認していきましょう。

【無料】がん治療が始まるときに考えておきたい困らないための対策

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■要件1:退職日までに1年以上の被保険者期間がある

たとえば、退職した企業Aに1年以上勤めていて、その間ずっと社会保険に加入していた、という場合にはあてはまります。(ケース1)

あるいは、退職した企業Aに勤務していたのは1年未満でも、その前の職場の企業Bで社会保険に加入していて、企業Aと企業Bでの加入期間が継続していた場合にはあてはまります。これは、企業Bを退職してすぐに企業Aに入社して、社会保険の加入が1日も間があかなかった場合です。(ケース2)

※注:最後に退職した企業Bが、協会けんぽだった場合

しかし、企業Bを退職後、社会保険を任意継続して、その後企業Aで協会けんぽに入った場合にはあてはまりません。任意継続も社会保険の一種ですが、この場合には認められません。(ケース3)

また、企業Aの社会保険の期間が1年未満、その前が国民健康保険だった場合には、あてはまりません。(ケース4)

※注:最後に退職した企業Bが、協会けんぽだった場合

ケースバイケースですので、加入されている健康保険の担当者にご確認されることをお勧めします。

■要件2:退職日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態である

傷病手当金を受けられる状態とは、次の4つの条件を満たしていることです。

  1. 業務外の病気やケガでの療養
  2. 療養のために仕事につくことができない
  3. 連続した3日間を含み4日以上仕事につけなかった
  4. 休んでいる期間に給与の支払いがない

ただし、退職日に出勤した場合には条件を満たしていませんから、退職後に傷病手当金を受け取ることはできません。

お世話になった勤務先に退職日に挨拶して最後の引継ぎを、と思う気持ちは大切ですが、出勤は体調と相談して、退職日ではなく前もってしておくことが物心両面でメリットがあるでしょう。

■退職後は断続しては受けられない

在勤中の傷病手当金は、休んだあとにいったん復帰しても、そのあとまた休むとその休んだ日に対して給付されます。

給付された日は通算されるので、間に出勤した日があってもその分はカウントされず、最大で1年6カ月分給付されます。

しかし、退職後にいったん仕事に就くことができる状態になった場合、その後また仕事ができない状態になっても、給付は受けられません。

復職するタイミングは、しっかり計画して決めましょう。

執筆者:松川 紀代(AFP認定者)
監修者:黒田 ちはる(CFP®認定者)

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2025年2月に実施した、第1回「がん患者の経済的負担の実態調査」を基に、第2回のアンケートを実施することになりました。

前回、回答いただいた方も、ぜひ回答いただけると嬉しいです。