いま、2人に1人が一生のうちにがんと診断されているほど、私たちにとって身近な疾患です。がんと診断され悩むのは、身体のことだけではありません。

「がん治療における経済毒性」という研究が日本でも進んでおり、身体と同じくらい経済的にもつらい思いをしている患者さんやご家族がいることがわかっています。

しかし、お金の悩みというのは、身近な人であってもなかなか打ち明けにくく、日本には「高額療養費制度」という医療費負担を軽減する制度があっても毎月かかる費用負担の問題があります。

治療の進歩により治療薬が増えたことは喜ばしいことですが、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など長期間使用する薬剤も増えており、医療費負担の長期化も生じています。

そして傷病手当金や障害年金といった収入を保障する制度や、治療と仕事の両立支援が進んできていても今まで通りの収入を確保することが難しいという状況に患者さんやご家族は置かれています。

2006年に制定されたがん対策基本法に基づき、2023年5月に策定される第4期がん対策推進基本計画では「高額な医療費の負担、患者やその家族等の離職・休職に伴う収入の減少等による経済的な課題」が取り上げられ、課題の追求と施策を検討していくという施策がこれから実施される予定です。

しかしながら、私たちFP相談員は毎日がんと診断され、生活が一変してお金の悩みを抱えている患者さんやご家族を目の当たりにしていますので、まさに今悩んでいる患者さんやご家族の一人でも多くのお金の悩みを解決する必要性を感じています。しかし現在どなたでも気軽にがんになった後の家計の相談を受けられる機関がありません。

最近は講演などで患者さんや医療従事者から「どこに行けばがん患者さんが相談できるFPはいますか?」と聞かれることが増えました。私たちFP相談員が千葉県を中心に関東圏内やオンラインでの相談を行っている現状では圧倒的に相談体制が足りていません。そこで全国的に患者支援が行える専門家FPを早急に増やし、患者さんやご家族が地元で相談を受けられる体制作りが必要と考えました。

そこでまずは、この2つの事業に注力してまいります。

①患者さん、ご家族、医療従事者対象のオンラインサポート事業
②患者支援の専門家FPの育成事業

①お金の問題というのは、収入と支出のバランスなので、解決に時間を要します。

問題解決の1番の課題は「困窮してからしか打ち明けにくい」ことにあります。

困窮してからは福祉の分野になりますので、FPの専門的な知識では解決が難しいこともあります。

ですので、1日も早くがんと診断された時からお金や制度の確認ができるオンラインサポートを行い、全国どこからでもお金の悩みを解決できる体制作りと啓発に努めます。

②現在、日本FP協会に認定されているAFP、CFP®認定者は国内に約18万人います。

しかし、専門的にがん患者さんやご家族の相談対応が行えるFPは国内でも10名弱と不足しています。がん治療中の家計相談は専門的な知識が必要となりますが、育成機関が今までありませんでした。専門的にがん患者さんの家計相談に取り組んでいる当法人理事を中心に患者支援の専門家FPの育成を行い、信頼性と継続性を持った団体を目指します。

経済的な部分での患者支援の輪が広がり、外部の関係団体との連携なども視野に入れながら、事業に邁進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

2023年4月

設立時社員

黒田 ちはる

渡辺 一江

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