傷病手当金の手取りが思ったより少なく感じる理由
治療のために仕事を休むことになり、収入がなくなるのが不安…。
そんなときに支えになる制度が傷病手当金です。
傷病手当金は、社会保険に加入している会社員や公務員が利用できる制度。
療養のために3日以上連続して仕事につけない場合、4日目以降に給与の約3分の2を受け取ることができます。
傷病手当金については、こちらも合わせてご覧ください。

子宮頸がんで骨にも転移があるため、放射線治療、手術の後に抗がん剤が始まりました。
傷病手当金を申請したのですが、思ったよりも少ない…?
このように、実際に受け取ってみて、「思ったより手元に残らない」「あとから会社から請求が来た」と戸惑う方も少なくありません。
治療が長引くがん患者さんにとって、傷病手当金制度はとても大切な制度です。
その一方で、傷病手当金はすべてを自由に使えるお金ではないという点は、あまり知られていません。
今回は、患者さんからよく聞かれる「受給中でも事前に知っておきたいお金のポイント」についてお伝えします。
- 30分間で変わる、あなたの選択。
納得できる治療と生活のために。 - がん治療は、お金のことも情報戦です。
がん治療にかかる医療費や生活費、不安を減らすために制度を使ってどこまで負担を減らせるか、無料で確認できます。
高額療養費以外に使えそうな制度も一緒に確認することができます。
患者さんやご家族は無料で確認できます。

傷病手当金は非課税でも、社会保険料はかかる
まずおさえておきたいのは、傷病手当金は非課税ということです。
つまり、所得税はかかりませんし、住民税の計算にも含まれません。
確定申告でも、原則として申告対象にはならないお金です。
収入でありながら税金がかからないのは、治療中の生活を支える制度として、とてもありがたい点です。
ただし、税金と社会保険料は別物です。
ここは混乱しやすいのですが、非課税=何も支払いが発生しないというわけではありません。
傷病手当金を受け取っている間も、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料の支払い義務は続きます。
会社員の場合、通常は給料から天引きされていますが、給料が出ていない期間は、別の形で支払う必要が出てきます。
一般的には、傷病手当金の受給期間中は、社会保険料を勤務先に振り込む方法がとられます。
金額の目安としては、これまでの給与明細に記載されている社会保険料の欄が参考になります。
中には、会社が立て替えるケースも
本人が負担する社会保険料を、いったん会社が立て替えるという対応をしている会社もあります。
このため、傷病手当金を受け取っている間、特に何も請求されなかったという方もいます。
治療でお金がかかる時期は、傷病手当金が支給されるとはいえ、収入は通常の給与の約3分の2になります。
そうした時期に、社会保険料の支払いを会社が一時的に立て替えてくれるのは、ありがたい対応だと感じる方も多いでしょう。
ただし、これは社会保険料が免除されるわけではなく、あくまで「立て替え」です。
立て替えられた社会保険料は、復職後の給料や、退職時の最終給与、退職金などから、まとめて差し引かれることがあります。
そのため、立て替え分の清算は、復職後や退職時の収支に影響します。
立て替えの有無だけでなく、いつ・どのように精算されるのか、金額はいくらになるのかは、あらかじめ確認しておきたいところです。
休職中の住民税はどうなるの?
住民税は、今年の収入に対してかかる税金ではなく、前年の所得をもとに計算され、今年支払う税金です。
そのため、傷病手当金を受け取っていて今年の収入が少なくても、前年に働いていた分の住民税は支払う必要があります。
傷病手当金自体は非課税なので、今年の住民税の計算には含まれません。
ただし、今支払っている住民税は、「去年の自分の所得」に対するものです。
収入が減ったタイミングで住民税の支払いが重なると、負担を強く感じがちです。
支払いが厳しくなりそうな場合は、我慢せずに、お住まいの自治体へ早めに相談してみましょう。
傷病手当金を申請するときに考えておきたいこと
収入が減っているときに、思いがけず支払いが必要になることがあるのは、とても不安なことです。
でもそれは、税金や社会保険の仕組みが、時間差で動いているために起きるズレでもあります。
今起きていることを知り、先の見通しを少し持てるだけで、気持ちはずいぶん楽になります。
治療と生活、どちらもひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
拠点病院のがん相談支援センターや、患者支援を行っている私たちFP(ファイナンシャル・プランナー)の患者家計サポート協会 などの無料相談を活用し、情報を整理するところから始めていけると、安心して治療に臨めるのではないのでしょうか。
執筆者:松川 紀代(AFP、患者家計アドバイザー®)
監修者:黒田ちはる(CFP®、家計アドバイザー®)
- 30分間で変わる、あなたの選択。
納得できる治療と生活のために。 - がん治療は、お金のことも情報戦です。
がん治療にかかる医療費や生活費、不安を減らすために制度を使ってどこまで負担を減らせるか、無料で確認できます。
高額療養費以外に使えそうな制度も一緒に確認することができます。
患者さんやご家族は無料で確認できます。



